「ファー・アウェイ・アイズ」はまだ聴こえているか?

「平成」をテーマにした小説アンソロジーを今年春にリリースします

〈平成〉という時代をテーマにした小説アンソロジーを、今年の春に南雲堂さんからリリースすることになりました。編者は遊井です。

 

 

趣旨としては、平成の時代に実際に起こった事件や流行った事柄、〈平成〉を象徴するようなものを題材に小説化しよう――というものです。

 

収録作はすべて書き下ろし。収録作品のジャンルは本格ミステリ、社会派ミステリ、ハードボイルド、ファンタジーとわりとなんでもありです。

ご寄稿してくださった作家は次の8人。青崎有吾さん、天祢涼さん、乾くるみさん、井上夢人さん、小森健太朗さん、白井智之さん、千澤のり子さん、貫井徳郎さんです。以上8名の作家に加えて、不肖遊井も小説を寄稿しました。*1

 


 

なお、本書には、付録として、遊井による平成年表「平成30年史~あるいは、戦場のボーイズ・ライフ30年分」も収録しています。

 

詳細については、このブログや遊井電企のtwitterアカウントで行っていきます。
よろしくお願いいたします。

*1:1999年12月25日――六本木WAVE最後の日――を舞台にした渋谷系×ハードボイルドな小説を書きました。

【告知】「ジャーロ」2018年冬号に企画・編集を担当した記事が掲載されます

12/21に配信が開始されるミステリ文芸誌「ジャーロ」No.66 2019年WINTER号(光文社)に、私が企画・編集を担当する連載「バスルームで小説を書く100の方法」の最新エピソードが掲載されます。

 

ジャーロ No. 66

ジャーロ No. 66

 

 

ミステリ作家がどんな環境で小説を書いているのか。どんな道具を使って物語を作っているのか。――「バスルームで小説を書く100の方法」は、一人の作家を文化的な背景からではなく、使ってきた機材から捉えるドキュメンタリー企画です。
インタビューを通じて、作家が使った機材を明らかにするとともに、小説の書き方を探っていきます。

 

第4回となる今回のゲストは、『境内ではお静かに 縁結び神社の事件帖』(光文社)が出たばかりの天祢涼さん。

そろそろApple信者にも話を伺っておこうと思い、天祢さんに取材しました。

 

境内ではお静かに 縁結び神社の事件帖

境内ではお静かに 縁結び神社の事件帖

 

 

この際だから明かしますが、「バスルームで小説を書く100の方法」は、天祢さんの冗談から生まれたものでした。

浦沢直樹の漫勉」の小説家版をやれないだろうか。その場合、タイトルは「遊井かなめの小勉」だ――そんな中学生男子みたいな冗談をスルーせず、拾った上で形にしたのが「バスルーム」なのです(笑)。

 

冗談から始まった企画とはいえ、なんだかんだ言って私もガジェットオタクではあるので、毎回楽しく取材しているわけですが。今回は、言い出しっぺにして、やはりガジェットオタクの天祢さん。連載史上もっとも「B○gin」「M○NO MAX」「MON○QLO」「モ○マガジン」寄りな内容になったかと思います。

Macを使って小説を書こうと思っている方、すでに書いている方におすすめです。

 

よろしくお願いいたします!

 

【告知】「このミステリーがすごい! 2019年版」に構成を担当した記事が掲載されます

12月11日に発売となる「このミステリーがすごい! 2019年版」(宝島社)に、ミステリ作家たちが平成に起こった災害・事件や平成に流行ったものを振り返る対談記事が掲載されます。私は編集・企画・構成を担当しました。

 

このミステリーがすごい! 2019年版

このミステリーがすごい! 2019年版

 

 

有栖川有栖さんが酒鬼薔薇事件について語り、桜庭一樹さんが永田裕志VSミルコ・クロコップを振り返り、深町秋生さんがヤクザ社会と現代社会を対比し、天祢涼さんが東日本大震災について思いの丈を打ち明ける……そんな座談会です。お楽しみに。

 

なお、私は国内・海外の年間ベストにも投票しております。
あと、この30年間の「このミス」1位の中から1位を選ぶ「キング・オブ・キングス」ランキングにも投票しています。

 

今年の「このミス」には、小説家デビューも果たしている乃木坂46高山一実さんのインタビューも掲載されていますので、高山さんのファンもぜひぜひ。

 

【告知】「2019 本格ミステリ ベスト10」に寄稿しました

12月6日に発売となる探偵小説研究会編著の「2019 本格ミステリ・ベスト10」(原書房)の国内ベストに投票しました*1

 

2019本格ミステリ・ベスト10

2019本格ミステリ・ベスト10

 

 

正直に言えば、私は本格ミステリがそんなに得意ではないのですが、そんな私でも楽しめた作品に票を投じました。私と同じように「本格ミステリは得意ではない」という方は参考にしてみてください。

 

アンドリュー・ヴァクス「アリバイ」は理想の短編ですよ

そういえば、今回の「本ミス」には「この作品を愛してやまない俺の偏愛ミステリ」というコーナーがありまして、そちらにも投稿しています。本当はアンドリュー・ヴァクス「アリバイ」を挙げようかと思ったのですが、「本ミス」なので本格ミステリ以外は挙げない方がよいだろうと考え(=俺だって、たまには空気を読む)、やめておきました。

 

アンドリュー・ヴァクス「アリバイ」の何がすごいかって、それはもう構成の暴力性。

裏カジノでの謎めいたやりとりから始まって、思わぬところに話は着地するのですが、そのスピード感にまず酔います。唐突すぎるので戸惑う方もいるかと思います。ですが、「アリバイ」というタイトルですべて納得いくはずです。

雰囲気もたっぷり。ヴァクスはリズムで刻むような文体だけに、話にギアが入った瞬間がとにかく映えるんです。

初読時は、12ページという分量でこれだけのことができるのか、これだけの雰囲気を作れるのかと驚きました。理想の短編。ミステリ史上最高の短編だと思います。

「EQ」の1995年7月号に掲載された作品で、一番入手しやすいのはEQ編集部編『英米超短編50選』(光文社文庫)。マジでオススメです。

 

英米超短編ミステリー50選 (光文社文庫)

英米超短編ミステリー50選 (光文社文庫)

 

 

 

 

*1:海外部門には投票していません。ですが、他の年間ベスト本には海外部門も投票しています。お手やわらかに

2018年度のアルバム私的Best10

年末恒例、ということで。

 

とりあえず2017年12月~2018年11月の間にリリースされたアルバムから、独断と偏見で2018年度のベスト10を挙げておきます。

 

なお、私の〈Best10選出〉は、1996年に地元のレコード屋さんからの依頼で、同店舗が発行していたフリーペーパーに寄稿したものから始まっておりまして、一昨年に1度中断しましたが、20年以上もBest10を選び続けてきたということになります。いやはや恐ろしい。

 

最後に。コメントは覚え書き程度のものなので、お手柔らかにお願いします。

 

なお、2017年度のものはこちら。

ue-kaname.hateblo.jp

 

2016年度はこちら。

ue-kaname.hateblo.jp

 

2015年度はこちらです。

ue-kaname.hateblo.jp

 

洋楽新譜部門
ザ・プロディガル・サン

ザ・プロディガル・サン

 

1位 ライ・クーダー『Prodigal Son』
2市 トニー・ベネットダイアナ・クラール『Love Is Here To Stay』
3位 ドニー・フリッツ『June (A Tribute to Arthur Alexander)』
4位 ポール・キャラック『These Days』
5位 パンチ・ブラザーズ『All Shore』
6位 ポール・サイモン『In the Blue Light』
7位 ポール・マッカートニー『Egypt Station』
8位 アンプ・フィドラー『amp dog nights』
9位 ジョン・オーツ『Arkansas』
10位 トニー・アレン&ジェフ・ミルズ『Tomorrow Comes The Harvest』
次点 ウォルター“ウルフマン”ワシントン『My Future Is My Past』
次点 バーズ・オブ・シカゴ『Love in Wartime』

 

1位は以前も書いたが、要は音楽好きが頭に思い浮かべるであろう「ライ・クーダー的なもの」「ライ・クーダー的なフレーズ」「ライ・クーダー的なスライド・ギター」に満ちあふれている1枚。ブラインド・ウィリー・ジョンソン曲がとにかく凄い。ゴスペル感覚をより高みで掴んでると思う。

 


 

2位のトニー・ベネットのデュエット・アルバムはそりゃ素晴らしいに決まっているのだが、この2人でガーシュウィンの楽曲を歌っていくという企画が素晴らしい。アメリカのポピュラー音楽史の縦糸がすっと繋がったような。


 

3位はゆったりとゆらめくグルーヴと、ドニーのあの歌声がとにかく最高。



4位、6位、7位の3人のポールはほぼ同タイミングで出たけど、一番好きだったのは、ポール・キャラックの1枚。サー・ポールのアルバムは近年のポール卿のアルバムではダントツに良かった。

 

10位のトニー・アレンとジェフ・ミルズのアルバムは 宇宙を見せられた。そして、デトロイト・テクノがソウル、ファンク、ジャズと地続きであることを思い出させてくれた。

 

アンプ・フィドラーのどす黒さと、トニー・アレン&ジェフ・ミルズの宇宙的などす黒さに痺れた1年でした。

 

 

洋楽再発・発掘部門
An American Treasure (Deluxe)

An American Treasure (Deluxe)

 

 

MORE BLOOD, MORE TRACK

MORE BLOOD, MORE TRACK

 

 

1位 トム・ペティ『An American Treasure』
2位 ボブ・ディラン
   『More Blood, More Tracks: The Bootleg Series Vol. 14』
3位 プライマル・スクリーム
   『Give Out But Don't Give Up: The Original Memphis Recordings』
4位 エルヴィス・プレスリー
   『Elvis: '68 Comeback Special: 50Th Anniversary Edition』
5位 ビートルズWhite Album(Delux Edition)』
6位 ローリング・ストーンズ『On Air
7位 ジ・アクション
   『Shadows And Reflections - The Complete Recordings 1964-1968』
8位 VA『Doo-Wop Nuggets Vol.1 desire』
9位 キンクス
   『The Kinks Are The Village Green Preservation Society(Delux Edition)』
10位 キャンディ・オペラ『45 Revolutions Per Minute』
次点 VA『Planet Mod : Brit Soul, R&B And Freakbeat From The Shel Talmy Vaults』
次点 ジャッキー・デシャノン
   『Stone Cold Soul~The Complete Capitol Recordings』

 

1位はディランと悩んだのだが、出てくれたのが嬉しかったし、何より「トム・ペティ」という素晴らしい才能がちゃんと俯瞰で確認できる内容になっていたのもよかったので、トム・ペティを。
トム・ペティというとすぐに「ああ、ディランに尻尾を振ってる奴な」「バーズのコピーな」的なことを言いたがる自称ロック好きがいるけども、そういうアホどもに「トム・ペティトム・ペティである」ときちんとわからすことができるボックスだと思う。こういうクロニクルはマジで大事。

 



ただ、実質的な1位はこっちかな。歴史的な価値では、こっちに軍配が上がる。



で、内容に衝撃を受けたのが3位と5位。

常々、プライマル・スクリームの最高傑作は「ディキシー・ナーコep」だと言ってきたが、それをあっさり更新しちゃった。アメリカ音楽にどっぷり浸かったこの盤は、「ディキシー・ナーコ」のNEXTとしても妥当だし、こうして出てくれて安心しました。発掘されてよかった。20年後は『スクリーマデリカ』より、こっちが名盤として残るでしょうね。



5位。CDの『ホワイト・アルバム』については、今までドクター・エベットが手がけたMONOのブートが決定盤だと思っていたが、今後はこれが決定盤。今からはこのリマスター版だけ聴いていればよい。

ひとつひとつの音がくっきりしているし、何より低音部がしっかり聴こえる。ここまで見事に生まれ変わるとは思いませんでした。とりあえず、「グラス・オニオン」の冒頭を聴けば、言ってることはわかると思う。



個人的には、山下達郎さんの労作が世に出たこと、エルヴィスの『カムバック・スペシャル』がBlue-rayで出たこと、キャンディ・オペラの盤が出たことに感動した1年でした。



 

邦楽部門 
デザインあ2

デザインあ2

 

  

デザインあ3

デザインあ3

 

 

1位 コーネリアスデザインあ2』『あ3』
2位 chiquewa『Sentimentalizer』
3位 ぱんだっち『Pandaful World』
4位 民謡クルセイダーズ『エコーズ・オブ・ジャパン』
5位 YMO『NEUE TANZ』
6位 VA『素晴らしいアイデア 小西康陽の仕事1986-2018』
7位 コーネリアス『Ripple Waves
8位 ゴンノ&マスムラ 『In Circles』
9位 松田聖子『Sweet Days』
10位 シリア・ポール『夢で逢えたら
次点 小沢健二アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」
次点 CERO『POLY LIFE MULTI SOUL』

 

コーネリアスは音と言葉の組み合わせが面白かった『あ』の2作の方を上に推します。



2位、3位は個人的に一番愛おしい盤。90年代の金がかかっていたブラック・ミュージックの音していたし、ギターはエロいし、ボカロに歌心はあるし、最高。これは洋楽リスナーにこそ聴いてもらいたいなあ。



 

民謡クルセイダーズは2018年度のトレンド。



YMOのコンピは選曲の妙にも唸らされたが、何より砂原さんのリマスターに痺れた。YMOが1978年から1983年に出した音楽というのは今でも十分通じるものだが 、今回の『NEUE TANZ』は1978年から1983年の音を“今の音”にしたもの。

「今でも通じる」ではなく「今の音で通じる」。これはもう新譜みたいなものです。



小西さんの仕事集はオマケも充実していて、BOX好きとしても楽しめました。今年一番のBOXだと思います。

 

あと、今年出た日本ものでは、これが最高でした。

 80年代の松田聖子の全シングル盤のAB面をぶちこんだブツ。今は亡きHip-Oが出しそうなブツ(出さないよ)。80年代の松田聖子の歌唱がいかに変わっていったのかを端的に理解できるもので、資料性もすごく高いっす。