「ファー・アウェイ・アイズ」はまだ聴こえているか?

Mystery-BookReview

あの頃のサブカル少年・少女への強烈な肘鉄~樋口毅宏『ドルフィン・ソングを救え!』を読んで

今さらで申し訳ないが、樋口毅宏の『ドルフィン・ソングを救え!』を読了した。 ドルフィン・ソングを救え! 作者: 樋口毅宏 出版社/メーカー: マガジンハウス 発売日: 2015/10/15 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (6件) を見る フリ…

気球は飛べど、英雄は飛べず~一田和樹『原発サイバートラップ』を読んで

昨年の時点では、サイバーミステリは、そもそもそもがジャンルとしてはほとんど認知されてはいなかった。ゆえに、どういう作品がサイバーミステリに入るかを共有し、同時に変遷と時代との対応を見せることが必要だと考えた。『サイバーミステリ宣言!』にブ…

その構成力は連作短編集でどう活きたか~明利英司『幽歴探偵アカイバラ』を読んで

青春ミステリ『旧校舎は茜色の迷宮』で2014年にデビューした明利英司の一年半ぶりの新作『幽歴探偵アカイバラ』が刊行された。 幽歴探偵アカイバラ (講談社ノベルス) 作者: 明利英司 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/04/07 メディア: 新書 この商品を…

フェアネスはいかにして確保されたか――深水黎一郎『倒叙の四季』を読んで

懲戒免職処分になった元警視庁の敏腕刑事が作成した〈完全犯罪完全指南〉という裏ファイルを入手し、完全犯罪を目論む4人の殺人者。「春は縊殺」「夏は溺殺」「秋は刺殺」「冬は氷密室で中毒殺」。心証は真っ黒でも物証さえ掴ませなければ逃げ切れる、と考…

今、もっとも、怖いもの見たさで続きが気になる物語――天祢涼『銀髪少女は音を視る』を読んで

天祢涼の10作目となる小説『銀髪少女は音を視る』(講談社タイガ)は、天祢のデビュー作である『キョウカンカク』、2作目『闇ツキチルドレン』(いずれも講談社ノベルス)以来となる、探偵・音宮美夜を主人公とするミステリだ。 銀髪少女は音を視る ニュク…

だからこそ、照れくさくなるような〈バディもの〉――青柳碧人『玩具都市弁護士』を読んで

今年は『トイ・ストーリー』公開から20周年となる。そんな記念すべき年に、ピクサー・アニメーション・スタジオの新作として日本で公開されたのが、映画『アーロと少年』だ。 www.disney.co.jp 同映画は、アパトサウルスのアーロとスポットという名の少年、…

明利英司さんの『旧校舎は茜色の迷宮』におけるパチンコ依存症の書かれ方にあるリアリティについて

※以下の文章は、明利英司さんの『旧校舎は茜色の迷宮』の内容に触れています。 旧校舎は茜色の迷宮 (講談社ノベルス) 作者: 明利英司 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/08/07 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 第6回ばらのまち福山ミステリ…

観測者は孤独の観測者たりえたか――芦辺拓『異次元の館の殺人』を読んで

※以下の文章では芦辺 拓『異次元の館の殺人』の内容に触れています。 異次元の館の殺人 作者: 芦辺拓 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2014/08/19 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る 芦辺 拓さんの新刊『異次元の館の殺…

意外な〈犯人〉と意外な〈探偵〉と――天祢涼『もう教祖しかない! 』を読んで

※以下の文章では天祢涼『もう教祖しかない! 』の内容に触れています。 天祢涼さんの1年ぶりの新刊『もう教祖しかない! 』(双葉社)を読了した。 もう教祖しかない!作者: 天祢涼出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2014/07/16メディア: 単行本(ソフトカバー)…

6/26のスポーツ新聞各紙一面と『物語』シリーズ終章から見る、10年代に求められる物語

※以下の文章では、「まよいマイマイ」「なでこスネイク」(『化物語』)、 「つばさタイガー」(『猫物語(白)』)、「しのぶタイム」(『鬼物語』)、 「おうぎダーク」(『終物語 下』)の真相に触れています。 はじめに 2014年のミステリ界の大きなトピ…

『教場』から読み取った「ソース至上主義」について

長岡弘樹の連作短編集『教場』という作品をどう読むか。ここ数週間、私を悩ませていたのがそれだった。教場作者: 長岡弘樹出版社/メーカー: 小学館発売日: 2013/06/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (26件) を見る ご存知のように、『教場』は警察学…