【告知】『声優論』電子書籍版刊行のお知らせ。そして〈続編〉について。

『声優論~アニメを彩る女神たち』(河出書房新社)が電子書籍化されることになりました。3/3(金)に配信予定、本体価格は1700円(税込1836円)です。

 

声優論 アニメを彩る女神たち 島本須美から雨宮天まで

声優論 アニメを彩る女神たち 島本須美から雨宮天まで

 

 

内容に大きく目立った変化はありませんが、誤植の修正が反映されております。

以前同人誌で発表したNO NAME論(「AKB0048論」*1)をブラッシュアップした形で付け加えたいところではありましたが、そこはそれ。ほとんどそのままの形でリリースします。

未読の方はこの機会にぜひお手にとってご覧ください。よろしくお願い申し上げます。

 

本書における渋谷系に関する記述について

さて、刊行当初から賛否両論あった本書ですが、ひとつだけ説明した方がよいのではと思ったことがあり、ここで説明したいと思います。

 

町口さんの花澤香菜論の三章1段落目について、以下のようにブログで指摘された方がいます。

そしてこの段落で書かれていることといえば渋谷系の極めて雑な説明だけである。渋谷系いいたいだけの模様だ。


ここで、町口さんが当該箇所でどう書いたかといえば、

この渋谷系とは、九〇年代にフリッパーズ・ギター、ピチカート・ファイブ、コーネリアスオリジナル・ラブカヒミ・カリィなど洋楽テイストのあるアーティストたちを総称したもので、とりわけカヒミ・カリィは和製フランシス・ギャルと呼ばれ、

 

まず、前提を確認します。
私は90年代のポップ・カルチャーを文化的出自とします。

そして、件のブロガーはいわゆるサブカル者を「サブカルクズ」呼ばわりされています。

ゆえに、件のブロガーは私の敵であるということで話を進めさせていただきます。


さて、町口さんの説明は渋谷系直撃世代のサブカル者である私としてもひっかかりを覚える箇所ではありました。雑だとは思いませんが、表面的にすぎると思ったのです。
せめてHMV渋谷店とか、そういう単語も欲しいところ。ただ、そうなると渋谷系に関する説明だけで文字数を多く費やしてしまいます。第一、本書は渋谷系に関する書籍ではないですし。であれば、表面だけはなぞれているのだし、この説明でよしとするか……というのが、最初に原稿に目を通した際に私が考えたことです。
何より、町口さんの渋谷系に対する説明は、当時を知らない人にもそれなりに伝えられるものだと読めたのです。

表面的な部分だけを抽出すれば、「洋楽テイストのあるアーティストたちを総称したもの」というのは、そう誤ってもいません。そのものズバリを言い当てているとは思いませんが、なぞることはできているのです。もっといえば、そういう解釈をFM雑誌で90年代半ばの時点で見かけた記憶もあります。

余談ですが、私自身の渋谷系の定義みたいなものは、下記エントリで示したように、特定のアーティストを指すのではなく、アティチュード(サンプリング感覚とでもいうべきもの。そして、それは送り手と受け手双方に共有されていた)やDJ感覚、おしゃれであることへの意識(強迫観念めいてもいた)だと思っています。。

ue-kaname.hateblo.jp

 

話を戻します。

ここで、もうちょっとだけ考えてみます。
若杉実さんの『渋谷系』(シンコー・ミュージック・エンターテイメント)にある山崎二郎さんの証言として、渋谷系は「あくまで外野のことば」ともあります。私の実感としてもそれに近いです。

 

私から見れば、町口さんは渋谷系の外野にいた方です。
外野にいた人から見れば渋谷系が「洋楽テイストのあるアーティストたちを総称したもの」には見えるだろうなとは思いますし、ならばこういう説明(=表面的にすぎる説明)になっても仕方ないし、受け入れるしかないなと考えます。そもそも、そういう扱いを受けてきたのも渋谷系じゃない? と。FM雑誌に載るような渋谷系の定義なんて、まさにそう(=表面的)じゃない? と。

ゆえに、町口さんの渋谷系に関しての説明を持ち出して「雑な説明」と批判するのは、90年代ポップ・カルチャーをあまりわかっていないように私には思えます。

 

続編について

最後に。たまに訊かれることではありますが、『声優論』の〈2〉はあるのか?という話。

はっきり申し上げます。〈続き〉としての〈2〉はありません。

 

一時期は男声編(男性編ではなく、男声編。男性声優さんだけでなく、少年声も演じられる女性声優さんも含めて男声編)を構想していたのですが、私がオタク文化に対する興味を完全に失ってしまったため、これ以上踏み込むつもりは現時点ではございません。

 

ただ、ディズニー作品に限ったものであれば続編はやりたいとは思っております。

すなわち、その時点で執筆陣もガラリと変わることになります。

 

どちらにせよ、純然たる〈2〉はない、ということで回答とさせてください。

*1:ご興味のある方はこちらをご覧ください。

ue-kaname.hateblo.jp