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【告知】天祢涼さん『彼女が花を咲かすとき』の解説を担当しました

12月7日に発売となる天祢涼さんの『彼女が花を咲かすとき』(光文社文庫、本体700円)の解説を書かせていただきました。

 

 

彼女が花を咲かすとき (光文社文庫)

彼女が花を咲かすとき (光文社文庫)

 

 

2017年は社会派青春ミステリ『希望が死んだ夜に』というオールタイム級の傑作を世に送り出した天祢涼さん。そんな彼は、いわゆる“職業もの”の連作短編集を得意とするわけですが。そういった連作短編集の中でもひときわ輝くのが、2015年に刊行した、花にまつわるミステリ『ハルカな花』でした。秘められた想いを巡るあたたかな連作短編集で、劇的な救いはここにはありませんが、小さな灯火のようなささやかな救いがそこにはありました。

今回、その『ハルカな花』が『彼女が花を咲かすとき』とタイトルを変えて文庫化されることになりました。

 

ハルカな花

ハルカな花

 

  

希望が死んだ夜に

希望が死んだ夜に

 

 

本作には、様々な不器用な人が出てきます。

  • 夢にこだわっていることを素直に認められない青年。
  • 恋していることを気付かないようにしている女子高校生。
  • 娘とのディスコミュニケーションに怯える父親。
  • 背伸びして母親を助けようとする少年。

そして、そんな彼らの周りで花にまつわる謎が見つかります。

  • 「なぜ、バラを盗んだ少年は自分にバチが当たったと思ったのか?」
  • 「なぜ、彼女はユリの花を買ったのか?」
  • 「なぜ、娘はトルコキキョウの花に怒るのか?」
  • 「少年が見たという“勇気の花”とは何か?」

そんな彼らの前に、美咲という少女が現れ、謎を解き明かします。

ミステリでもあり、SFでもあり、ファンタジーでもある、心あたたまる作品です。

 

ミステリ作家・天祢涼としての傑作ではないかもしれませんが、小説家・天祢涼としての傑作だと私は思います。お勧めします。