「ファー・アウェイ・アイズ」はまだ聴こえているか?

2017年度アニメのベスト5を選んでみる

とりあえず年末ということで、2017年度アニメのベスト5を選んでみる。

 

なお、昨年度の私的ベスト5はこんな感じだ。

ue-kaname.hateblo.jp

 

ああ、そうそう。

一応、私の生涯のベスト20をまず挙げておく。そうしておけば、大体のところはお察していただけるのではないかなと。なお、カッコの中の数字は日本における公開年である。

 

1位『トイ・ストーリー3』(2010)
2位『美女と野獣』 (1992)
3位「カウボーイ・ビバップ」(1998~99)
4位『ウォーリー』 (2008)
5位『トイ・ストーリー』 (1996)
6位『カーズ・クロスロード』(2017)
7位「夢がかなう場所 -Where Dreams Come True」(CM/2012)
8位『塔の上のラプンツェル』 (2011)
9位『ファインディング・ドリー』(2016)
10位『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009)
11位『ノートルダムの鐘』(1996)
12位『モアナと伝説の海』(2017)
13位『アナと雪の女王』 (2014)
14位「フィニアスとファーブ」(2008~2015)
15位『プリンセスと魔法のキス』(2010)
16位『ファインディング・ニモ』(2003)
17位『カーズ』 (2006)
18位『ピーターパン』 (1953)
19位『トイ・ストーリー2』(2000)
20位「AKB0048」 (2012~13)

 

今年の10本と簡単な解説

 

1位『カーズ・クロスロード』
2位 ディズニー・ギフト・オブ・クリスマス
3位『モアナと伝説の海』
4位「ブレードランナー ブラックアウト 2022」
5位「マイロ・マーフィーの法則
次点「ラプンツェル あたらしい冒険」

 

簡単に解説を。

 

1位『カーズ・クロスロード』はクルーズ・ラミレスに感情移入しちゃったこともあり、人生の1本となったわけだが。

とにかく、映画『カーズ・クロスロード』はミステリ・ファンならば唸らされる作品だと思う。「ベテラン・レーサーが若き王者にいかにして勝つか」というところで話を進めておいて、物語に大きくツイストが加わる。伏線もちゃんと張られているし、どんでん返しに唐突さはない。物語もちゃんと解決している。ミステリ・ファンにこそ観てもらいたい作品だ。

 


カーズ/クロスロード(吹替版)- Trailer

 

 

2位のディズニー・ギフト・オブ・クリスマスは、シンデレラ城に投影されるプロジェクション・マッピング・アニメ。「Have Yourself A Merry Little Christmas」などのクリスマス・ソングがかかる中、ディズニーのキャラクターたちが空間に躍動する。空間、音、光をうまく使った体験共有型アニメの最高峰。これは毎年言っているが、これこそがアニメの最先端だと思う。

 


【公式】「ディズニー・ギフト・オブ・クリスマス」ダイジェスト|東京ディズニーランド

 

ディズニー・リゾート関係だと、やはりシンデレラ城を舞台としたキャッスル・プロジェクション「フローズン・フォーエバー」も素晴らしかった。また、ディズニー・シーの新アトラクション「ニモ&フレンズ シーライダー」は、『ニモ』の世界に入っていく感じにシビレた。

 


NEWアトラクション「ニモ&フレンズ・シーライダー」TVCM

 

 

3位『モアナと伝説の海』は、圧倒的な存在と渡り合う(≠戦う)人間のお話。そして、最近のディズニーが得意とする「意外な真犯人」ものの変奏でもある。

 

 

まず、映像表現がとにかく素晴しい。水の表現だけでなく、髪の表現にとにかく驚かされる。ウェービーな髪が風になびく、水の中で広がるなど、ここまでアニメでやれるのかと。アクションの多彩さ、カメラワークもケレン味たっぷり。マグマの悪魔である巨大なテ・カァの圧倒的な存在感や動きもマジで恐怖、いや畏怖の念を抱いたほど。

 

ディズニー映画といえば音楽も魅力的だが、本作もそう。
今はじめて外に出ようとする際に歌われる「How Far I'll Go」の開放感もぐっとくるが、挫折の中で自分を規定し直し前を向く「I Am Moana」(「How Far I'll Go」のリプライズにあたる曲)にある祝福感にはさらにぐっときた。
ミュージカル映画としての完成度、曲とストーリーの連携という点では『モアナ』は『アナ雪』を超えてると思う。話を大きく動かす転機となる際にかかる二つの曲。シチュエーションとしては表裏の関係。そして曲自体も表裏の関係。「I Am Moana」で、あるメロディが流れ出した途端、変な声を出して泣いてしまった。

 


Various Artists - How Far I'll Go - Heard Around the World (24 Languages) (From "Moana")

 


I Am Moana (Song of the Ancestors) (From "Moana"/Audio Only)

 

ストーリーとその語り口について言えば、テーマの押し付けがましさはいっさいなし。さりげない。あるキャラクターの退場を描く際も、さりげなく。直接的に、そのシーンを描かない。
ミュージカル映画として、アクション映画として極上でありながら、さりげなくメッセージを発信している。理想的なエンタメだと思う。

 

なお、近年のディズニーは、世間一般的に持たれているであろう〈ディズニーのプリンセスもの〉イメージをひっくり返すというか、揺さぶる作品を発表し続けているが*1、本作は歪んで伝わっている〈ディズニーのプリンセスもの〉のイメージをギャグにすらしている。ディズニー好きとしては、そこも痛快。

 

最後に、日本語版吹き替えがとにかく素晴らしかった。タマトアにROLLY、タラに夏木マリを配役できた時点で勝ちだと思う。

 

 

4位「ブレードランナー ブラックアウト 2022」は映画『ブレードランナー2049』の前日譚となるショートムービー。監督は渡辺信一郎。現時点の日本のアニメーションの最前線。

 


【渡辺信一郎監督による前奏アニメ解禁!】「ブレードランナー ブラックアウト 2022」

 

 

5位「マイロ・マーフィーの法則は「フィニアスとファーブ」を手がけたダン・ポベンマイヤーとジェフ・“スワンピー”・マーシュによる新シリーズ。日常で普通に生活しているだけで必ず悪いことが起こってしまう少年を主人公とするドタバタ・コメディ。*2
大惨事の最中にあるにも関わらず、そんなに慌てることなくポジティヴに状況を受け入れて、こんなこともあるさとばかりに楽しんでしまうマイロの冒険譚といった方がよいだろう。多数のとぼけたキャラクターたちも魅力的。とにかくチャーミングな作品である。

マイロとは正反対に悲観的なキャラクターもいれば、予測していなかったことが起こるのを嫌う完璧主義者もいる。トラブルを呼び込んでしまうマイロのことを危険だと見做す青年もいる。彼といることを面白がっている少女もいる。楽観的なトラブル体質者を中心とした人間模様にもはっとさせられる。

 

平穏な日常がいきなり大きなトラブルに変異するというストーリーゆえ、そんなにパターンを作れるのか放映前は不安だったが、その不安は杞憂に終わりそう。また、「フィニファ」同様、別々の無関係な話が同一の時間軸で微妙に影響し合いながらそれぞれの結末に着地していく様に気持ちよさを覚えた。

 

次点の「ラプンツェル あたらしい冒険」ラプンツェルが相変わらず強くて最高。

 


「ラプンツェル あたらしい冒険」予告編

 

 

来年の予告

さて。もう来年のことを書いてしまうが、おそらく来年は3月に公開予定の『リメンバー・ミー』と8月に公開予定の『インクレディブル・ファミリー』(『Mr.インクレディブル』の続編)の2作が上位に来るだろう。ともに予告編はこんな感じだ。

 


「リメンバー・ミー」本予告

 


「インクレディブル・ファミリー」特報

 

特に、『インクレディブル・ファミリー』は、前作が捻った展開でサスペンスとしても面白かっただけに、ミステリ・ファンとしては期待大! めっちゃ楽しみっす!

 

 

*1:プリンセスと魔法のキス』『アナと雪の王女』など

*2:友人のミュージシャンが“コメディ・タッチの「Another」”と評していて笑った記憶がある