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山口雅也さんの『生ける屍の死』のお手伝いをしました

山口雅也さんが1989年に発表した、日本ミステリ史に燦然と輝く傑作『生ける屍の死』が光文社文庫から再登場することになりました。

発売日は上下巻とも6月12日。価格はともに780円です(本体価格)。

 

生ける屍の死(上)

生ける屍の死(上)

 

  

生ける屍の死(下)

生ける屍の死(下)

 

 

今回は単なる再文庫化ではありません。『生ける屍の死』の“決定版”です。
ほぼ全ページにおいて改稿がなされています。細かい修正に留まらず、エピグラフの変更、地図のリデザイン、推理パート自体のブラッシュアップ(!)など、本当に大きく変わっております。

それだけではありません。今回は特典も付けました。

そのひとつが、山口雅也の語る『生ける屍の死』の制作秘話です。こちらは上下巻に分けて掲載しています。上巻収録分では、山口雅也が本格的な作家デビューを飾るまでの経緯、執筆時の試行錯誤、あの設定をどこから発想したのか――などが語られております。一方で、下巻収録分では、探偵役を務めるグリンのモデル、ラスト・シーンを書いていた時の心境などについて、山口さんがかなり赤裸々に語っています。

インタビューの収録が6時間に渡ったため、上下巻に分けて掲載しましたが、それだけに濃い内容になっております。*1

 

なお、下巻には作品リストも付きます。小説著作だけでなく、単行本未収録作品、ミステリ関連アイテムのリストも掲載しました。

山口雅也さんが『生ける屍の死』で本格デビューする前に書いた短編は四十本近くあるのですが、いずれも単行本未収録のまま。それらが今回、掲載誌、掲載時期も含め、すべて明らかになります。

 

遊井は今回の企画にはプロデューサー的な立場で関わっております。
企画・編集をはじめ、解説、インタビューの構成、前述した作品リストの作成まで、いろいろやっています。
なお、解説は、キース・リチャーズと絡めて書いております。ストーンズ・ファンの方はそんな点でも楽しめるかも?

 

『生ける屍の死』とは

アメリカはニューイングランド地方の田舎町、トゥームズヴィル。同地で霊園を経営するバーリイコーン一族では、家長のスマイリーが病床に臥しており、その遺産を巡って家中にただならぬ雰囲気が漂っていた。一方その頃、アメリカの各地で、不可解な死者の甦り現象が起きていたのだが――

 

山口雅也が1989年に発表したデビュー長編。
死者が甦る特殊状況で巻き起こる殺人事件と本格推理という、従来のミステリの常識ではありえない特異な筋立てが話題なった、その後陸続と生まれる、いわゆる“特殊設定ミステリ”に先鞭をつけた作品であり、現在のミステリ・シーンに多大なる影響を与えた。
このミステリーがすごい! 98年版」の〈10年間のミステリーベスト10〉国内編で第1位に輝くなど、エヴァーグリーンな傑作として今日も読まれ続けている。

*1:聞き手は私です。