「ファー・アウェイ・アイズ」はまだ聴こえているか?

『ベスト本格ミステリ2018』のお手伝いをしました

『ベスト本格ミステリ2018』(講談社ノベルス本格ミステリ作家クラブ選・編)が6月8日に発売になります。

 

  

 

掲載作品は以下。


[小説]

【評論】

 

2017年に発表された文芸誌や短編集の中から、作家=鳥飼否宇、評論家=福井健太、編集者=遊井かなめの三名で議論を重ね、十一編の小説を選定したアンソロジーです。『ベスト本格ミステリ』とタイトルにあるように、収録された作品はすべてが珠玉の本格ミステリ本格ミステリ作家クラブが自信を持ってお届けする、本格ミステリを愛好するあなたのための、そして短編小説を愛するあなたのための作品集です。

 

私は全作品の解説を担当しております。*1

 

ああ、そうそう。
今回の解説では、やっておきたいなと以前から考えていたことをやりました。

 

今回の解説では、掲載誌は何か、掲載誌のこういう企画で載ったものだ、というのを明らかにしました。企画の発案者が誰であるかもわかっていれば、それも併せて書きました。雑誌での並び、編集者がその小説をどういう意図で載せようとしたのか。こういうことが解説では蔑ろにされがちなのが、小説好きというよりは雑誌好きな私としては、前から気になっていたのです。
たとえば今回のアンソロジーだと、東川篤哉さんの「カープレッドよりも真っ赤な嘘 」という作品が収録されていますが、この作品が何の解説もナシに載ると、「野球好きな作者による野球あるあるを利用したミステリ」ぐらいの認識で終わりかねないと思うのです。しかし、〈「ジェイ・ノベル」二〇一七年三月号の「球春到来! 『野球』を読む」特集に掲載された〉という一文があれば、この小説が書かれた背景もある程度はわかるのではないでしょうか。それにミステリ雑誌自体にも興味を持ってもらえるかもしれません……なんてことを考えて書いてみました。
 
作家クラブ選・編の本における解説としては、自分というものを出しすぎな気もしたのですが、ずっともやもやしていたことでもあったので、今回は自分を前に出して仕事しました。

 

何はともあれ、ミステリが好きな方、短編小説が好きな方に、ぴったりのアンソロジーだと思いますので、ご興味のある方はぜひ。

*1:実は昨年から選定に関わっておりました